半沢直樹 原作 ×テレビドラマとの違い

半沢直樹は原作者の池井戸潤さん自身が銀行という業界で見てきたものを通じて、比較的近い存在のヒーローがその荒波に挑む姿をリアルに表現したエンタテイメントであると言えます。

テレビドラマの迫真演技から見た原作の想い

テレビドラマで強烈なインパクトを放った「やられたらやり返す、倍返しだ!」と言うセリフは半沢直樹のテレビドラマにおいてはになくてはならない名言になっています。
でも、実際では前半の「オレたちバブル入行組」や倍返しを果たした続編でテレビドラマの後編だった「オレたち花のバブル組」の中でも原作ではエンターテイメントである割には少ない表現でした。

あるインタビュー記事の中で、池井戸潤さんにとって小説が見せられるものは人の内面を事細かく表現するところまでで、従ってそこから先に引き起こされるものは映像によって作りだされていくものなのか、とも受け取れるインタビュー記事を目にしました。
原作の中でしか表せない文章によるリアリティとテレビドラマの映像の中で作られる人格というのは映像である方が言葉を必要としないリアリティのある演技が強烈なインパクトになるのは間違いありません。

池井戸潤さんにとって、半沢直樹という人物に映像を求めたのでしょうか。




そこから受けとれる半沢直樹という人物像

半沢直樹は職業人としての人格よりも半沢直樹という芯の通ったキャラクターがこの時代の銀行という組織社会の中でどう渡り歩いていくかというその点を描いていくのが元々の原作者のねらいであったのでしょうか。
あくまでも結果として面白かったと言えるエンターテイメントを求め、それが堺雅人さんの迫真極まる演技で作り出された半沢直樹という人物に多くの人が共感をもった訳ですね。

そう考えた場合には、原作者の想いというのが映像で作り上げる場合にテレビドラマでしか作れないオリジナリティが要所に取り込まれた事はむしろ必然で、原作との違いが大きくなっているのも良く分かります。

テレビドラマの後の続編となった原作の「ロスジェネの逆襲」では半沢直樹の型破りのキャラクターが働く者たちと渡り合う中でぶれない芯の通った人物である事は闇を抱える世代にも共感され元気を与える起爆剤にもなっていました。

原作で作り上げた半沢直樹という人物と小説では書き表せない堺雅人さんが作り上げた半沢直樹に隔たりがあったとしてもこれだけの反響と続編を望む声がある以上、映像で作り上げたそれは原作者が目指した面白いと言えるエンターテイメントであったことでしょう。

またテレビドラマの中では異例だった、主題歌や挿入歌がなかったというのも半沢直樹のキャラクターがそうさせたのか、それを必要としないテレビドラマのねらいがあったからなのでしょうか。

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