ノートルダム大聖堂の内部にあるステンドグラスの役割とは

―基礎知識・教会編—

ステンドグラスは魅せるための単なる装飾なのでしょうか?

ノートルダム大聖堂をはじめとする大聖堂に入場してみたい理由の一つに、色鮮やかな色彩のステンドグラスを観たいという人は多いことでしょう。
この色彩の共演を見て癒されたという人はたくさんいるでしょうね。

そもそも、ステンドグラスは何故取り付けられているのでしょうか。
単なる装飾の一部で、訪れる多くの方々へのサービス精神からなのでしょうか。

だとしたら、ここはどんなステンドグラスが見られるのだろうって期待が膨らみますよね。
でも、ノートルダム大聖堂は勿論、場所は教会ですから私たちが抱くあるべき教会とは主に信者さんが集まる場所として解釈しています。

でも、教会って知れば知るほど人と人とが密接に繋がる奥深い意味をもつ場所なのです。




ステンドグラスは聖書、信者さんのためにあるものです。

パリのノートルダム大聖堂をはじめフランスの教会建築において、最初にステンドグラスが取り入れられました。
建築様式の進歩によって生まれたと言っても過言ではありませんが、そもそもステンドグラスというのはガラスにはめ込まれる装飾ですよね。

高さをとって、聖堂内が広くなると一層灯りが必要になります。
そこで、考えられたのが

・建築構造上、壁に重力がかからなくなったことで、採光できるように建築基準に沿って窓が取り付けられました。
そこに原色を使ったステンドグラスを取り付ける事で採光したときに色ガラスを通って堂内に神秘な色彩が広がるということ。

・まだ、建築構造上採光窓が作れなかった建物では、聖書の内容を表す絵は壁に描かれていました。
そして壁に書かれていた聖書の内容を表す絵は建築が進化した後にも引き続き、何らかの形で見せる必要がありました。

そこで、ステンドグラスにそれを表現する事で解決したわけです。
教会に足を運ぶ信者さんの大半は当時、主言語となるラテン語が分からない文盲の信者さんであった為に聖書を見せるというのが実は必要であったのです。

教会を訪れる人は信者でもあり様々な境遇で生きる人々が分け隔てることなく通うことが出来るコミュニティの場でもありました。

ノートルダム大聖堂のバラ窓にも意味があります

ノートルダム大聖堂に入ってまず一番目を奪われるのがこのバラ窓のステンドグラスでしょう。
これを見るために大聖堂を訪れるという人は多いですが、ノートルダム大聖堂の内部にあるバラ窓のステンドグラスだけでも一枚だけではなく入り口となる西側、北側そして南側の三枚あります。

バラ窓は聖書に出てきませんから、もし訪問する人を喜ばせる演出のようなものであれば、次はどんな装飾で楽しませてくれるのかと期待してしまうところがありますよね。
でも実は、ノートルダム大聖堂のバラ窓のステンドグラスこそ聖母マリアに捧げる象徴なのです。

聖書のようにバラ窓を読み解いていくのは難しいと思われますから、バラ窓はノートルダム大聖堂の中の聖母マリアの象徴として採光を放つ最も美しいものとして理解するだけでもいいのかもしれません。
でも、大聖堂と呼ばれる中でもすべてにノートルダム大聖堂にあるようなバラ窓があるわけではありません。

大聖堂の中には聖母マリアに捧げるものではなく信仰による教えに基づいて建設された大聖堂にはバラ窓はついていません。
ローマカトリックの中でも聖書だけを信仰の第一に考えられた宗派であるプロテスタントの大聖堂がそれに当てはまります。

ステンドグラスからだけでも、元々一つだったキリスト教の考え方も解釈によってこれだけ分かれてしまうものであるかというのを目の当たりにできるわけですから、宗教自体にその奥の深さを感じます。



ノートルダム大聖堂にあるステンドグラスの色は現代もだせますか

ノートルダム大聖堂などに見られる原色が強調された色は、現代では難しいとされています。
ステンドグラスは時代を追うごとに次第に色彩を帯びない透明な色使いが主流になっていきます。

はっきりした理由は分からないにせよ、ノートルダム大聖堂が建設された700年前には可能だった鉱物などの取り寄せが困難である事、特に青を出すラピスラズリーなどは非常に難しいという理由があります。

目で楽しめるステンドグラスにも様々な苦労を重ねているというのがこれだけでも分かる、だから価値があるという事なのですね。

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