ノートルダム大聖堂 内部構造は重力の分散が第一

―基礎知識・教会編―

ひと際目を引くノートルダム大聖堂 は、外観は勿論、建物内部の壮大なスケールの構造すべてに驚かされます。
1000年は軽く超えても維持できる、「どうして」という内部構造はどうなっているのですか?

ノートルダム大聖堂 建築までの歴史

各国に存在する大聖堂の内部構造は基本的には同じなのです。
いつごろ始まったのかというのは、「一斉にスタート」っていうわけではありませんが大体1000年くらい前と言われています。

民族の移動が終わり今度は気の合う民族同士で集落がつくられていく頃、同時にキリスト教の信者さんも急速に広がっていった頃です。
そこで急速に増える信者さんを見た教会は建設を始めていきました。

パリのノートルダム大聖堂を筆頭に周辺の国々の大聖堂を見ると壮大なスケールにただ驚くばかりなのですが、1000年前にどうやって作られていったのでしょうか。
でも、ノートルダム大聖堂をはじめとする壮大な内部構造の大聖堂というのは、もう少し経った1200年以降になってからのものです。

まさに鎌倉時代が始まる頃ですね。
信者さんの数もさらに増え続け、教会の権威が最高潮に達した時代がこの頃ですが、この時に多額な資金をかけて作られていきます。




内部構造のポイントは重力の分散にあり?

日本の建築資材には多様な木材が使われているのに対し、ヨーロッパの建築には多様な石材(主に石灰岩)が使われています。
ノートルダム大聖堂なども内部構造にも石が多様に使われていますが、あれだけの高さのある建物には相当の重力による負荷がかかっている筈ですが、どうやって克服しているのでしょうか。

内部構造のポイントを簡単に解明すると、

・内部構造はてっぺんから垂直に降りる重力を内部の天井で交差する交差ボルトで枝分かれさせながら整然と立つ柱に分散して降ろしています。ポイントは一か所に纏めないで均等にかけていますから、これまでのように壁には負荷がかかっていません。

・外側には手で押さえているかのように見える梁というものがありますね。カニの足のようなもので「バットレス」って言います。これは外に流れる重力を外の梁で支えているという構造です。

ですから、ノートルダム大聖堂などはその内部構造自体も装飾として溶け込ませているので気が付かないわけです。
中と外で重力を分担して支え合っていたのですね。

この発想はフランスの教会建築が始まりで、これが他国にも波及していきました。



大聖堂はどのくらいの歳月をかけてつくられるものなのか

ノートルダム大聖堂は勿論、大聖堂を作るのは教会です。
多額の費用が掛かりますから一気に作ってしまいたいところなのですが、戦争したり何か突発的な理由で財政困難になると工事がストップしてしまいます。

また潤ってきたときに再開しての繰り返しになるのが大半ですから、結局工期に200年500年に歳月を費やすというのは当たり前の状況でした。
ですから、建設に着工から完成までが早い大聖堂などはそれだけ財政が潤っていた場合だったり、寄附など特別な理由で資金が集まったりする場合なども早いですね。

でも、これだけの建造物ですからすぐできてしまうと言っても100年200年はかかりますから、そのご苦労は計り知れないものがあります。

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